思い出の名レース(3) 2008年 第59回毎日王冠

思い出の名レース第3回は、2008年10月12日に行われた毎日王冠(GⅡ)です。スーパーホーネットが勝ったレースです。

秋のGⅠ戦線に向けて毎年見所の多いレースですが、同年は名牝ウオッカの秋緒戦を受けて立つ牡馬陣の模様で、悲願のGⅠタイトルを狙うスーパーホーネットをはじめ、カンパニーやドリームパスポート、オースミグラスワンなど、秋のGⅠ戦線を占う好メンバーが揃いました。その中で、前走安田記念を圧勝したウオッカが単勝1.5倍の圧倒的1番人気に支持され、その安田記念で1番人気(8着)だったスーパーホーネットが2番人気となりました。

スーパーホーネットの父ロドリゴデトリアーノはイギリスで走った馬(生産国はアメリカ)で引退後に日本に輸入された種牡馬で、1998年オークス馬エリモエクセルをはじめ、ミヤギロドリゴ(七夕賞)、マイネルコンドル(札幌3歳S)などを輩出しています。2008年の種付シーズン終了後にJBBA九州に移動し、2013年まで種牡馬を続けていました。

私は2008年の夏に、鹿児島県大崎町にあるJBBA九州種馬場に同馬とサイレントハンターを見学しに訪ねたのですが、その際に、先細る種付頭数もあって、お話を伺った場長さんが「スーパーホーネットに何とかGⅠを獲ってもらって、もう一花咲かせてもらいたいなぁ」と少し寂しそうに鼻面をなでながらおっしゃっていたのが印象的でした。職員が常駐しない土曜日にもかかわらず、電話で数日前に来訪の予約をしたらわざわざ当日私のためだけに来て、嬉しそうに案内して頂いたことが今でも忘れられません。

レースのほうは、スタートした瞬間にびっくり。なんとウオッカが好スタートからそのまま逃げ始めます。ベストコンディションの芝で行われる開幕週の毎日王冠は例年逃げ馬有利とはいえ、まさかあのウオッカが逃げるとは予想しませんでした。そのまま道中2馬身程度のリードを保ちながら、直線も力強く引き離しにかかります。先に動いたアドマイヤフジが捕まえにいきますが、かえって引きちぎられてしまいます。このままウオッカ貫録勝ちかと思われた瞬間、スーパーホーネットが満を持して追い詰めます。じりじりと差を詰め、あと半馬身のところからグイッとアタマ差逆転したところがゴールでした。ウオッカの戦法がどうだったかはともかく、力で堂々現役最強馬をねじ伏せた力強いレースでした。

結局スーパーホーネットは残念ながらG1タイトルには手が届かなかったものの、アロースタッドで無事種牡馬入り。毎年1桁の少ない種付頭数ながら、スーパープリンセス、シゲルノコギリザメの2頭がJRAで勝利を収め(2015年末現在)、ロドリゴデトリアーノの血を後世に繋げていっております。現役時代に果たせなかったGⅠタイトルを、産駒たちが叶えて欲しいと願っています。

▽2008年 第59回毎日王冠(GⅡ)
https://www.youtube.com/watch?v=kS1XrPAMPq8